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平賀源内と本草学

平賀源内 平賀源内(1728~1779)は、香川薬学部がある香川県志度出身の学者です。一般的にはエレキテルで有名ですが、実は以下のような本草学(薬学・博物学)*1の業績も多く残しています(平賀源内の略歴もご覧下さい)。

  • 薬品会(博覧会)*2を開催し、鉱石や薬草を含む植物を展示・紹介しました。
  • 輸入に頼っていたボウショウ、ハゲキテン等を日本国内で発見しました。特にハゲキテンは香川県(大川山山麓の中通)で発見されました。
  • 香川県で多くの薬草を採取しており、これらが「物類品隲(ブツルイヒンシツ)*3」に掲載されています。このうち、竹節人参(チクセツニンジン)や釣藤(カギカヅラ)、黄連(オウレン)などは香川薬学部の植物園で栽培されています。
  • サトウキビの栽培と砂糖の製造方法を「物類品隲」で紹介しました。この後、香川県でも特産品として和三盆糖が定着しました。
  • 高松藩の薬草園(栗林公園内の百花園)の管理者に任じられていました。残念ながら当時の薬草園はなくなってしまいましたが、現在、平賀源内先生遺品館(外部ページ)の前には平賀源内が紀州で発見したホルトの木があり、昔日の面影を今に伝えています。
  • 火浣布(アスベスト)の作製と火浣布略説(解説本)の発行を行っています。
  • エレキテル(電気発生装置)と共に、タルモメイトル(寒暖計)や量程器(万歩計)も作製しました。

薬研(やげん)・薬たんす
平賀源内が使っていた薬研(やげん)と薬たんす。

平賀源内の略歴

平賀源内は、享保13年(1728年)、現在の香川県さぬき市志度に生まれました。13歳の時には、地元で本草学と儒学を学んでいます。

長崎遊学を経験し、それまでの本草学・物産学にヨーロッパの学問を新たに付け加えた源内は、更なる学問的飛躍を志して、家督と御役を一度に放棄して江戸に行きます。

宝暦6年(1756年)、29歳の源内は初めて江戸に入り、すでに本草家として知られていた田村元雄に弟子入りします。そして翌年の宝暦7年(1757年)には、わが国初の薬品会の開催に尽力します。この会は、学問的領域から逸脱するものではなく、現在の学会に近いものだったと思われます。

源内は合計5回の薬品会の開催に関わることになります。そして、第5回目、自身が主催した「東都薬品会」では千三百種もの物産を集め、大々的な薬品会を開催しました。

この間、源内自身も様々な場所で物産を採集しています。中でも、伊豆における「芒硝」の発見は自らの主張*4を実証するものでした。漢方で下剤・利尿剤として用いる芒消は、専ら中国からの輸入品に頼っていたのですが、国産の芒消が初めて発見されたのです。

そして源内は、全5回の薬品会の出品物総計二千余種の中から、重要と思われる三百六十種を選び、分類し、その形状、性質、効用・用法、産地などを解説した「物類品隲」を著しました。

平賀源内の親友であり、「解体新書」で有名な杉田玄白の言葉に、「この男(源内)、業は本草家にて、生まれ得て理にさとく、敏才にして よく人気に叶ひし生まれなりき。(蘭学事始 杉田玄白)というものがあります。エレキテルや「土用の丑の日」のキャッチコピーなど奇抜な発想力と行動力で有名な平賀源内ですが、その生涯で志していたものは本草家であり、学者でした。

注釈

*1 本草学

動・植・鉱物とその薬用について研究する、薬学・博物学のこと。江戸時代のインテリが必ず修得した、東洋の自然科学として伝統的な学問。

*2 薬品会

いわゆる物産博覧会。日本各地にどのようなものがあるかを知るために企画されたもので、鎖国社会における自給自足、国益増進が目的。

*3 物類品隲

物類品隲(ブツルイヒンシツ)とは物産を品評して定めるという意味。「物類品隲」は本文4巻、図絵1巻、附録1巻の計6巻からなり、薬品会の研究成果を収めた、本草家・平賀源内の主著。

*4 源内の主張

平賀源内やその他の本草家達は、これまで海外にしかないと思われていたものも「深山幽谷を尋ね求めるればなきにしもあらず」であり、各地の人々の協力があれば必ず得られるものと考えられ、そうすれば「海外に頼らなくても国産で事が足り」、長崎貿易による金銀の海外流出を阻止することができ、逆にそれを対外貿易品として輸出すれば国益にもなる、と主張した。

参考資料・関連サイト

  • 平賀源内―その行動と思想―  日本人の行動と思想28 塚谷晃弘、益井邦夫 評論社
  • 人物叢書 新装版 平賀源内 日本歴史学会編集 城福勇 吉川弘文館
  • 朝日選書379 平賀源内 芳賀徹 朝日新聞社
  • 平賀源内全集 平賀源内先生顯彰會 名著刊行会
  • さぬき市観光ガイド
  • 平賀源内先生遺品館

※本サイトの写真は、(財)平賀源内先生顕彰会の許諾・協力を得て掲載しています。