香川県立高松北高等学校の外部研修を行いました!

今日は香川県立高松北高等学校の2年生のみなさんが、外部研修で香川キャンパスを訪れました。
香川薬学部ではアスピリンの合成と確認試験を体験してもらいました。

アスピリンはとても有名な解熱鎮痛・抗炎症剤です。
19世紀中頃にヤナギの木から有効成分が抽出され、サリチル酸と名付けられました。サリチル酸は抗炎症剤として用いられましたが、強い酸性のために胃腸障害などの重い副作用もありました。そこで、水酸基をアセチル化して酸性を弱めて副作用を少なくしたアセチルサリチル酸、いわゆるアスピリンが誕生しました。

今回は、サリチル酸に無水酢酸を作用させることで、サリチル酸の水酸基をアセチル基に置換して、アスピリンを合成しました。サリチル酸、無水酢酸、ピリジン(反応促進剤)を入れた三角フラスコを熱湯につけて反応せた後、水を入れて10分間三角フラスコをひたすら振り混ぜました。さらに氷につけて冷やしながら振り混ぜていると、アスピリンの結晶が析出してきました!アスピレーターで減圧しながら濾過をして、アスピリンの白色結晶を取り出しました。

次に、できあがった結晶が本当にアスピリンかどうかを確かめるために、塩化鉄(Ⅲ)による呈色試験を行いました。塩化鉄(Ⅲ)を原料のサリチル酸に加えると、フェノール性の水酸基に反応して紫色に変化しますが、アスピリンの場合は水酸基がアセチル基に置き換わっているためにほとんど着色しません。みなさんが合成した結晶は着色しなかったので、アスピリンであることが確認できてホッとしましたね。

最後に、合成品の解熱鎮痛作用を試験しました。アスピリンは、発熱・痛み・炎症の原因物質であるプロスタグランジンの生成酵素シクロオキシゲナーゼ (COX)の働きを抑えることで、解熱鎮痛作用を発揮します。今回はCOXの働きを可視化するため、テトラメチルフェニレンジアミン(TMPD)を使って 抑制試験をしました。TMPDはCOXの酸化反応によって青色に変化しますが、アスピリンによってCOXの働きが抑えられるとほとんど着色しません。みなさん、初めてのマイクロピペット操作で少し手こずってしまいましたが、合成品の抑制試験はちゃんと成功しました!高松北高出身で本学部2年生の岡地秀篤君と5年生の石原翔子さんが、実習室に足を運んでくれました。香川薬学部に進学して良かったことや、高松北高時代の思い出など、後輩たちからの質問に答えてくれました。

薬を作って、確認して、作用を試験する、という一連の流れを体験して、薬学のおもしろさを感じてもらえたと思います。

みなさんの高校でも、是非、香川薬学部での外部研修を体験してみませんか?